なぜ、キューブなのか?
形、役割、そして日本の「もったいない」という考え方から、見慣れた靴箱を見つめ直す。
靴を買うとき、私たちが当たり前のように思い浮かべる形があります。細長く、長方形で、見慣れた形。
その形が長く使われてきたのには理由があります。靴を目的地まで運び、守るという役割を、十分に果たしてくれるからです。しかし、一度開けられると、その役目はそこで終わってしまうことが少なくありません。Torayoshiの靴箱について考え始めたとき、私たちは少し違うところから出発しました。靴を取り出したあと、この箱は何になれるだろう。そう問いかけたのです。その問いが、箱の形を変えました。


異なるプロポーション
一般的な細長い靴箱とは異なり、Torayoshiのパッケージは、よりキューブに近い形をしています。
靴のパッケージとしては、ひと目で少し違和感を覚えるプロポーションかもしれません。しかし、この形を選んだ理由は、単に見た目のためではありません。キューブ型の箱は、一時的なパッケージというよりも、ひとつの「もの」として感じられます。均整のとれた形だからこそ、棚の上にも、デスクのそばにも、部屋の中にも自然になじみます。靴を取り出したあとは、雑誌や書類、写真、本など、日々の暮らしの中で増えていくさまざまなものを収める箱として使うことができます。
最初は、ひとつの目的のために。そして、その形が次の役割へとつないでいきます。
残り続ける価値
「もったいない」は、英語ではしばしば単純に “what a waste.” と訳されます。しかし、その言葉には、もう少し深い意味があります。素材やもの、時間、そして手間にはそれぞれ価値があり、その価値を十分に生かしきる前に手放してしまうことについて、あらためて考えるという意識です。

次の役割までデザインする
その変化に、特別なことはほとんど必要ありません。中身を取り出せば、箱はそのままオープンタイプの収納になります。雑誌や書類を自然に収められる構造でありながら、外観はあえて控えめに。隠してしまうのではなく、部屋の中にそのまま置いておける佇まいを目指しました。複雑な仕組みも、特別な説明もありません。そのシンプルさも、意図したものです。サステナビリティのために、また新しい「もの」を生み出したかったわけではありません。もともと必要だったものの中に、もうひとつの役割を見つけたかったのです。
Torayoshiの靴箱は、これからも一足の靴を運び、守ります。それが、この箱の最初の役割です。
ただ、それが最後の役割である必要はありません。
残す。満たす。新しく生かす。
ひとつのものに、ひとつ以上の生き方を。







